令和7年8月23日、24日 『保護者とつくる自閉症児と大学生のサマーキャンプ』
本校は学校と保護者の連携をとても大切にしています。学校でできることを家でもできるようにする、家でできることを学校でもできるようにする、学校や家でできることをそれ以外の場所でもできるようにする、そんな取り組みがとても大切だからです。本校にはPTA活動だけでなく、親父の会があることもそんな取り組みの一つなのです。
さて、筑波大学の附属学校には、筑波大学長と各PTA会長が直接懇談する「学長懇談会」というものがあります。PTA会長が永田学長に直接要望を伝えることが出来る貴重な機会です。久里浜PTAは令和5年度からある要望を出していました。それは、夏休み中に「大学生が自閉症のある子供たちと接する機会」を作ってほしいというものでした。令和6年度の学長懇談会で永田学長から、是非取り組んでみて欲しいとの話があり、学生さんの参加募集を行えること、そして、交通費の補助を出してもらえることが決まりました。そんな流れで実現したのが、今回の「保護者とつくる自閉症児と大学生のサマーキャンプ」です。
副校長を中心に企画を話し合い、PTAを含めて話し合いを重ねました。主催はPTAとおやじの会ということで、全国国立大学附属学校PTA連合会からも助成をいただき、さらには、地元横須賀にある「みちくさラボ」さんからも御協力をいただけることになりました。
サマーキャンプは筑波大学の学生さんが一泊二日で参加する交流会です。筑波から3時間もかけて大学生・大学院生12名が久里浜までやってきました。学生の多くは自閉症の子供たちと接するのはこれが初めて。副校長から挨拶があった後は、幼稚部主事から、自閉症の子供との接し方についてのレクチャーがありました。そして、その後は子供や保護者との対面です。



大学生と子供は二日間ペアで活動します。簡単に名前を伝えた後は、ペアの家族と話をします。自閉症のお子さんは本当に一人一人で接し方が異なります。まずは、ペアの保護者から「うちの子ってこんな子」という説明を聞きました。そして、その後は3家族ずつに分かれて、生活する上で大変なことや嬉しいことなどについて話を伺います。ペアとなる子供の家族だけでなく、様々な苦労や喜びを聞くためです。学生さんたちは話を聞きながら、しっかりメモを取って聞いていました。



学生さんたちが保護者からの話を聞いている間、子供たちは教員ボランティアが遊びに連れて行きます。学校に隣接する国立特別支援教育研究所のトランポリンルーム、スヌーズレンルーム、そして学校内の遊具などでしっかり、体を動かします。在校生だけでなく、きょうだい児も含めた遊びに、いつも以上にはしゃいでいる様子が見られました。



保護者からのレクチャーが終わるころには、子供たちも会場に戻ってきました。学生さんたちは、子供たちの目いっぱい遊んできた様子をスライドショーで見ながら、子供たちと一緒におやつを食べました。ここで一日目の活動は終了です。子供たちと別れた後、学生さんたちから感想を聞いたり、質問などを受けたりする時間も作りました。


二日目。学生さんたちが楽しみにしていた子供たちとの交流本番です。午前中は二班に分かれ、「海での磯遊び」と「ヤギさんとの触れ合い」を交代しながら楽しみました。まずは、海での活動を紹介します。会場になる野比海岸は本当に学校の目の前です。持っていくおもちゃを確認し、海側駐車場を出て、横断歩道で道路を渡ると海岸です。


最初こそ、どんなふうに接したらよいか戸惑っていた学生さんたちでしたが、礒遊びを通して徐々に距離を縮めていきます。






つづいては「みちくさラボ」のヤギさんとの触れ合い。本当にかわいいヤギさんたちに釘付けです。


動物を怖がる子供もいますので、大丈夫だろうかという不安もありました。しかし、みちくさラボのみなさんが本当に優しく、分かりやすく説明してくださり、すんなりと活動に入っていくことが出来ました。子供たちは夢中になって、えさをあげていました。そして、なんと、全員がヤギに触ることもできたのです。さらに、えさやりの活動の中で、学生さんたちも子供たちとの距離を縮めていきました。最後には、学生さんとペアになった家族で記念撮影をさせてくださいました。






うみとヤギの活動を交代して、午前中の活動は終了。みんなでお弁当を食べました。お弁当を食べ終わって、午後の活動まで30分ほど時間がありました。すると、自然と学生さんたちが子供たちと遊びはじめました。会ったばかりの学生さんたちと仲良くなれるだろうか?という不安は全くの杞憂に終わりました。



午後の活動は「おもいでアート」づくり。午前中の活動の際に撮った写真を切り抜いてコラージュを作りました。写真を切り抜いて貼り、台紙に絵を描いたり、マスキングテープで飾りをつけたりした後、パウチで作品にしました。






楽しい時間は本当にあっという間です。作品を作り終えて、第1回の「保護者とつくる自閉症児と大学生のサマーキャンプ」は無事終了となりました。子供たちにとっても、学生さんにとっても、そして御家族にとっても、とても価値を感じられる活動となりました。次年度も継続できるように、学校とPTA、そして、筑波大学と、さらなる連携をとっていきたいと感じました。

※集合写真は全附P連、PTA未来の懸け橋PJで撮影に来てくださっていた、㈱グレートプレーン様からご提供いただきました。
また、この取り組みは令和7年9月8日付 日本教育新聞社の記事 にも取り上げていただきました。