筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba
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10月20日 「あおぐみ」優勝 ~今年の運動会~

10月20日 「あおぐみ」優勝 ~今年の運動会~

 今年の運動会は晴れた。晴れ渡る朝の空を見て、8割方成功だと思った。
 と言うのも、昨年は度重なる延期の上、「運動会」としては実施できず「発表会」として平日に行わざるを得なかったからである。参観できた保護者の方も少なく、楽しみにしていたおじいちゃん、おばあちゃんにもお見せできなかった。

今年は、打って変わっての運動会日和。まずはホッとした。
 だが、良かったのは天気だけではなかった。内容も素晴らしかった。

 私は、最後の挨拶で、子供たちのがんばりを大いに褒めた。「とても良かった。」と何度も言った。それほど、子供たちの良い面やがんばりが見られた運動会だった。こういうのを手前味噌と言うのだろうが、そう言われても良いと思った。私自身、何度も感動していたからである。

 幼稚部の種目は、最近の遠足で行った水族館をモチーフに、子供たちがペンギンやアシカやイルカになり、平均台、トンネルを越え、ボールを目標に入れるなどの設定だった。数日前の練習を見ていたときは、スタートの門を出て戸惑う子もいたが、今日は、トンネルに2~3人が一緒に入ったり、平均台の上に2人乗ったりする様子が見られた。教員たちの予想以上に子供らが障害物に向かった結果、混み合う状況になったのである。お母さんたちの協力で作ったというペンギンやアシカの衣装は、幼児たちの可愛らしさを極限まで引き出していた。アシカさんのがんばりを紹介しよう。

運動会①.jpg

 練習の初めころ、Hさんは太鼓橋を越えられなかった。何度やってもてっぺんまで行くと、戻って降りてくる。てっぺんで体を反転することを、どうしたら覚えられるか。U先生は、自分が太鼓橋を渡る様子をビデオに撮った。そのビデオをHさんに見せて練習を繰り返したそうである。てっぺんで体を反転しなければならないことは理解したようだが、反転しても足の置き場が定まらずに戻ることもあった。そして、今日、お父さんやお母さんが見ている前で、少々時間はかかったが、てっぺんで体を反転させて降りることができた。保護者も教師も大感激である。

 小学部の種目には、それぞれの学年らしさが表れていた。小学部の1,2年生は、この時期いろいろな授業で取り扱ってきたサツマイモをイメージして、障害物を越えた後、布で作られた大きなサツマイモを抜いてゴールする。畑で実際に育てることはもちろん、収穫した後は調理をしたし、音楽などでも取り扱ってきた。子供たちは、大きなサツマイモを笑顔いっぱいで運んだ。3,4年生は体育で行ってきたサッカーを取り上げた。ジャンプやなわとびで準備体操をした後、サッカーボールをドリブルしてシュートする。準備運動、ドリブル、シュートという一連の行動を意識して行っている様子が印象的だった。5,6年生は障害物を越えたり、悪者と戦ったりしながら、各自が絵の一部を運び、絵を完成させる。一人1回行うのでなく、絵ができるまで繰り返し行う。力を合わせる、目的が達成するまで繰り返すところに高学年らしさがあった。

 どの学年も子供たちがよく動いていた。自分で何をするのかが分かって動く姿は、たとえ先生と一緒であっても生き生きしている。先生たちは子供一人一人をどう援助するか十分に考えたようである。結果、今日、私には子供たちが理解して動いているように感じられた。

 種目の終わりに「かけっこ」がある。一人一人の力に合わせて、距離を伸ばす。幼稚部は20m位から、ゴールに見立てたマットに向かい、最後はダイビング。ゆっくり確実にゴールに向かう子、スピードはあるが先生から少しのサポートを受けている子、みんなゴールを目指す意識があった。小学部になると、距離が伸びスピードもあがるが、例年、コースをはみ出す子どももいた。ただ、今日は、多少サポートを受ける子供もいたが、ゴールに対する意識があるように感じられた。それぞれに相応しいゴール設定や段階的な練習があったからだろう。ゴールを目指して笑顔で走っている姿が多く見られた。

運動会②.jpg

 今年は、順位を競うことも取り入れた。玉入れの玉の数、それとかけっこの順位が点数化された。表彰式で、点数を高さに表したものが提示された。それを、子供たちは真剣に見ていた。勝敗や順位を意識できる子供は多くないかもしれない。しかし、閉会式の一部が視覚的に興味あるものとなったようだ。

 青組が優勝だった。今年度卒業する6年生と幼稚部年長組、それに今年入学した1年生が加わったのが青組である。本校では、これまで赤組と白組だけだったが、今年から青組を加え三つの組にした。三つはいい。1位から3位に収まる。かけっこも3人ずつだった。3人が、1位、2位、3位と頑張りが認められる。初めて用意された優勝カップが、青組団長のY君に手渡された。Y君の誇らしげな顔、両脇から見つめる白組と赤組団長の顔、そこに集まる子供たちの視線、今までにない閉会式の光景だった。