筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba
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5月7日 大きな声が出るようになった訳 ~H君のお使い~

5月7日 大きな声が出るようになった訳 ~H君のお使い~

 朝の玄関、4年生のH君が靴を履き替え、ニコニコしながら私の前にやってきた。あまり大きな声ではないが、はっきりと聞こえる声で「おはよう。」と言った。私も答えて「おはようございます。」と言う。彼はニンマリして教室へと向かう。少し離れたところでそのようすを見ていたお母さんの顔もほころんだ。

 PTAの用事で学校に来ていたH君のお母さんが、私に用事があるということでしばらくしてから校長室にやって来た。そこで、「このところH君の挨拶の声が大きくなりましたよ。」と言うと、お母さんが「はい、私も今朝、見ていて驚きました。」と笑顔で話してくれた。

 H君は、3年生の後半から、職員室にお使いに来るようになった。彼の好きなタブレット端末の充電を職員室でしているため、それを取りに来るというのがお使いの中身だ。H君は、このお使いを初めた頃、それこそ蚊の鳴くような声で「失礼します。iPadを取りに来ました。」と言っていた。職員室にいた教員は「もう少し大きな声で」と言いたかったことだろうが、そうは言わずに「どうぞ。」と受け止めた。しばらくそうしたやりとりが続くうちに、H君の表情は明るさを増し、次第に大きな声が出るようになった。年度末には、職員室で「この頃、H君、ずいぶん大きな声が出るようになったね。」と話していた。

 一つの活動で得た自信が、玄関の挨拶にも波及してきたようである。そういえば、最近、スクールバスから降りた下級生の手を引いて玄関に入って来るH君の姿を見かけた。これまでにはなかった行動である。担任のM先生に聞いて見ると、学級では担任や友達に呼びかけることが増えてきたと嬉しそうに話していた。一つの活動で得た自信が、積極性となって広がっているようである。H君の活動が、これからどんなふうに拡がっていくのか楽しみである。