筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

成長するコンサート ~きらきらコンサート~

9月12日 成長するコンサート ~きらきらコンサート~

 コンサートの最後に御礼の挨拶をした。その中で、「今までで一番素晴らしいコンサートでした。」と言ってしまった。「しまった」と思ったが、覆水盆に返らず、である。何度も本校に来ていただいているジャズピアニストの谷川賢作さんには、はなはだ失礼な物言いとなってしまった。だが、私のいつわらざる気持ちであった。

 谷川さんには、6年連続でコンサートをお願いしている。子供の世界をテーマにしたオリジナルソング、本校の子供がよく知っている曲のアレンジ、お父様である谷川俊太郎氏の詩や絵本を題材にした弾き語り、本校の校歌のジャズ風アレンジなど、毎年、変化と工夫に溢れるコンサートを提供いただいた。昨年からは、パーカションの安井希久子さんとコラボし、演奏の幅も広がった。そして、子供たちも演奏を披露するなど、年を追うごとに内容が充実し、子供たちの参加度も上がってきた。そういう意味では、コンサートが成長していると言えるかなと思っていた。

 だが、今日のコンサートはひと味もふた味も違ったものだった。今日のコンサートの様子を一言で表すなら、「一体感」という言葉ではなかろうか。優れた演奏家と聴衆が織りなす一体感、コンサート会場は何度も会場が一つになったような、そんな雰囲気に包まれたように思う。そして、一体感の媒介になったのは、本校の教師たちだったように見えた。

 こんな場面があった。コンサートが少し進んだ頃、T先生が何かを布で隠して登場。何が始まるのだろうという緊張感に包まれた。T先生が持っていたのは、子供たちに馴染みの大型絵本「ありとすいか」(たむらしげる作、ポプラ社)であった。目を見張る子供たち。読み進むのに合わせて演奏されるピアノとパーカション。子供たちが一人二人と前に出てきて、アリの仲間を呼ぶような仕草をする。ある子は走り回り、ある子は絵本のイメージを表現する。物語のクライマックスに向かって、盛り上がる演奏、つられて出て来る子供たち、そんな状況に耳目を集中させ座っている多くの子供たち。私は、子供たちの様子を確かめたくて会場全体が見える位置に移動した。子供たちも、教師も、演奏家も同調しているように見えた。「一体感」に包まれていると感じた瞬間である(写真)。

きらきらコンサート①.jpg

きらきらコンサート②.jpg

 同じような場面が今日は何度もあった。子供たちもよく知っている「エビカニクス」、実習5日目にして寸劇を披露してくれた教育実習生による「おおきなかぶ」、谷川さんのオリジナルソングで子供たちの好きなことを盛り込む「大好きのうた」、6年生と谷川さん安井さんがコラボした「ビリーヴ」など、感動を覚える場面がいくつもあった。

 子供と演奏家と教師が作り上げるコンサート。来年、どんな成長を見せてくれるか、今から楽しみである。